デイリーフレネ

NO 1677 阿部進への道 ― 過去への課題 (5) 2018.12.11


エピローグ

 

阿部進言うところの『子どもの生態に学ぶ』とは、学校という非日常の中に子どもを同化させるのではなく、子どもという現実にカメラのレンズを向け、それを教師や学校というフィルターを通さず映し出すという行為に他ならない。それはとりもなおさず、非日常を日常に転化する=非学校化する=子どもの生態を観察すると同意語になるだろう。

 

学校における儀式、例えば、「起立!礼!着席!」という行為は、日常の世界から学校の中で学ぶという非日常に子どもたちを引き込むことに間違いない。

村田栄一流に言うならば、次のようになるだろう。

 

ことばには「ハレ」のことばと、「ケ」のことばと二種類あって「ケ」のことばというのはきわめて「身体」的表現をとるらしい。ことばが「からだ離れ」をし、抽象化し、普遍的記号に近づくとき、「ハレ」の表現に転化するものらしい。そして、「公」教育とは、そのような「ハレ」言語の世界にこどもを連れて行くことなのではなかろうか。

             『感性と想像力の奪還を』

                    望星 197167月合併号(東海教育研究所)

 

子どもの側に立つということの端緒は、学校という非日常の中でいかにしてレールをはずれるか常に考え続けるということではないだろうか・・・。

 

ケサラ ケサラ ケサラ

隠していた本当の夢は

涙と歌 道連れにして

レールを外れることさ

          By リクオ

 

【追補】

ここまで書いてきて、重要なことを一つ忘れていた。

 

「今でもありありと目に浮かぶのは、校庭に山のように積み上げられたマンガ本がメラメラと燃やされていく姿ですよ。お母さんたちが勝手に俗悪本と規定したマンガ本を杉並の小学校の校庭に集め、火をつけて燃やしたのです。抗議のために集まっていた手塚治虫先生も一緒にそれを眺めていました。ナチスの焚書と同じですよ。悔しくて涙が出てきました。どんな時代でも、大人の身勝手な論理で子どもの世界がぶち壊されていく。こんなことが許されますか!」

 20107月 甲府での阿部進講演

 

この事件は、いくら調べてみても詳細がわからない。手塚治虫のマンガの一部に女性の裸が描写されているとか、永井豪の『ハレンチ学園』のスカートめくりが教育上よろしくないとか・・・、〈ハレ=非日常=教育・学校〉の論理で〈ケ=日常=生活・子どもの生態〉を排す大人の身勝手に対し、徹底的に戦ってきたのが阿部進だった。

すでに風化しつつあるこの事件を忘れてはいけない。自己のアイデンティティーを武器に、何が正しいのか吟味していく想像力こそが問われている・・・。

 

阿部進の祭壇には、永井豪の献花が飾られていた。合掌・・・。


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